第6回アフリカツメガエル研究会(XCIJ)総会 議事録
日時: 2007年5月28日(月)、午後1-2時
場所: C会場(第40回日本発生生物学会・第59回日本細胞生物学会合同大会、福岡国際会議場)
出席者:上野、平良、栃内、内山、竹島、岩尾、弓削、福井、黒田、餅井、鈴木(厚)、渡部、田村、木下(全員を正確に記録できていません)他 院生・ポスドク20名程度
議題
(1)第11回国際ゼノパス会議 (2006年) 報告
浅島先生不在のため、上野先生より報告。海外から200名余、日本から100名の合計315名(語尾が間違っているかもしれません)の参加があった。758万円の寄付を得て、参加費合計で3000万円超の予算で行い、会計監査も木下先生はじめ関係の先生方(内山、平良)により終了した。なお第12回はKnochel、Niehrs、Pieler、Wedlichの4名を幹事として、2008年9月8-12日、Frankfult空港からバス2hr、Leiwen/TrierのEurostrand Hotelにて行う予定。
(2)ツボカビ対策について
平良先生より報告。
- ツボカビ対策委員会が発足した。メンバーは6名、矢尾板(委員長)、高瀬、浅島、上野、有賀、平良。情報を集めて、検討の後にXCIJメンバーへと流す。またマスコミ等への対応もここに一元化する。ツボカビ病検査キット配布も行う。
- 矢尾板先生からのメールの紹介。はじめにEl copeにおけるカエル類の大量死の報告があり、ツボカビが原因の可能性が指摘された。一方ケベックではツボカビがいるものの大量死はおきていない。ヒキガエルやウシガエルは感染しても死なないと言われている。Xenopusも死なないので保菌者となりうる。東大久保研では飼育水を濾過し、このフィルターを元にPCRするとバンドが出るが、シーケンスすると完全に別配列であり擬陽性であった。このためnested PCRが望ましい。ボランティアでこの2回のPCR法を試してほしい。両生類研ではツボカビへの曝露実験も行っている。都市下水は閉鎖系下水管を通り一箇所に集められた後に消毒されるので、ツメガエルの飼育水を下水へ流してもツボカビが環境へ放出される可能性は低い。一方市販の水虫薬(2万円)は1日5分の薬浴、2日で十分であり量もかなり入っているので有効に保菌カエルを処理できる。
- 有賀先生からのメール紹介。検出方法が十分には確立しておらず、擬陽性を検出しやすいため、検討が必要。綿栓(スワブ)法だと見逃す可能性があるが、この方法の場合ツメとツメの間に近い部位をこすり取る。より良いのは水かきを切り取ってDNAを抽出し、PCRする。またPCRもBd1aとBd2aを使う場合は抗Taq抗体を使うなど、Hot startの原理で行う方が望ましい。平良研でもPCRは行っているが、バンドが出ないこともありPCRは現状では簡単ではない。
- 塩化ベンザルコニウムによる滅菌は毒性が強くツメガエルには使用できない。
- 飼育水の消毒はピューラックス(6%次亜塩素酸)で15分の消毒をした後、下水に流している(有賀先生)。
平良先生の現状報告の後、フロアーにおいて自由討論を行い、以下の意見が出された。
- ツボカビ菌が野生ガエル減少の真の原因か、ツメガエルが原因となってツボカビ菌が広がっているのか、因果関係を正確に把握できるまでは、冷静に対応すべきである(上野)。
- ツボカビ菌がいつ頃から問題になったのか、ツメガエル以外のカエルにはどのくらい感染しているのか(弓削)。
- ツボカビ検出が十分できない現状で(正確な情報が無い状態で)どの様な対策をとるべきか考える必要がある(平良)。
- 日本やアメリカの野生ガエルの感染率を明らかにすべき(渡部)。
- 過去の経緯や因果関係を明らかにすることは難しい現状で、今できる対策を十分にしておいた方がよい。飼育水の処理はすべきであろう(鈴木)。
- マスコミからの問い合わせに対して、個人がばらばらな回答をするのではなく、XCIJ対策委員会(代表:矢尾板先生)へ問い合わせるように対応すべき(福井)。
(3)その他
福井先生より、昨年度、日本で行われたXenopus Meetingの経験を生かし、日本版Xenopus Meetingを開催する(8月初旬、札幌予定)方向で若手有志が検討している旨の紹介があった。