カルタヘナ議定書の発効(下記)を控え、海外の研究室との組換え体の受け渡しに関する質問がいくつか寄せられておりますので、議定書への我が国の対応状況等を含めて情報提供をさせて頂きます。

 「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」は、50カ国目の締結から90日後に発効することとされておりましたが、すでに本年9月11日に発効しております(議定書の概要については、外務省ホームページをご参照下さい)。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/cartagena.html

 我が国は、先の第156回通常国会において議定書及び議定書の締結に必要な法律を提出し、それぞれ国会の了承を得た又は成立したところでありますが、議定書の締結については、法律の下に定める省令等を整備した後に行う予定であり、現段階では行っていません。このため、我が国から議定書締約国への組換え体の輸出に際し、我が国の研究者等が議定書において求められている措置を講ずる義務は、9月11日の段階では生じません。

 しかしながら、輸出先である議定書締約国の研究者が受け取った組換え体を使用するときに、

 1)実験室等の中での封じ込め利用であれば、適切な封じ込め措置を講ずること
 2)屋外での利用であれば、事前にリスク評価を行うこと

等の義務が課されていることから、議定書第18条の規定を踏まえ、組換え体であること等の表示等を行うことが望ましいと考えられます。

 締約国の状況については、下記ホームページをご参照下さい。http://www.biodiv.org/biosafety/signinglist.aspx

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(参考)議定書第18条「取扱い、輸送、包装及び表示」
1 締約国は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に及ぼす悪影響
(人の健康に対する危険も考慮したもの)を回避するため、関連する国際的な規則及び基準を考慮して、意図的な国境を越える移動の対象となる改変された生物であってこの議定書の対象とされるものが安全な状況の下で取り扱われ、包装され及び輸送されることを義務付けるために必要な措置をとる。
2 締約国は、次のことを義務付ける措置をとる。
(a) 食料若しくは飼料として直接利用し又は加工することを目的とする改変された生物に添付する文書において、(以下略)。
(b) 拡散防止措置の下での利用を目的とする改変された生物に添付する文書において、これらが改変された生物であることを明確に表示し、並びに安全な取扱い、保管、輸送及び利用に関する要件並びに追加的な情報のための連絡先(これらの改変された生物の仕向先である個人又は団体の氏名又は名称及び住所を含む。)を明記すること。
(c) 輸入締約国の環境への意図的な導入を目的とする改変された生物及びこの議定書の対象とされるその他の改変された生物に添付する文書において、これらが改変された生物であることを明確に表示し、並びにその識別についての情報及び関連する形質又は特性、安全な取扱い、保管、輸送及び利用に関する要件、追加的な情報のための連絡先並びに適当な場合には輸入者及び輸出者の氏名又は名称及び住所を明記し、また、当該文書にこれらの改変された生物の移動が輸出者に適用されるこの議定書の規定に従って行われるものである旨の宣言を含めること。
3 (略)
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 本件に関するご質問は、下記までお願い致します。

 文部科学省 研究振興局 ライフサイエンス課
 生命倫理・安全対策室 「組換えDNA実験担当」宛
 電話:03-5253-4111(内線4108)
 ファクス:03-5253-4114
 Eメール:kumikae@mext.go.jp