<目次>
Whole mount in situ hybridization
Technical tips
[カエルまたはイモリ胚の麻酔法]
私自身が以前にやったのは、氷冷するっていうやり方で、これでもある程度はおとなしくなりました。やり方としては、発泡スチロールのふたつきの容器に(よく、冷凍品が入ってくるようなやつ)クラッシュアイスを1キロくらい入れ、60ミリのシャーレに入れた胚をシャーレごと入れておきます。しばらくするとおとなしくなるので、取り出して使います。
(情報提供者:鹿児島大学 坂井)
(2)業者よりMS-222が生産中止になったという話を聞かされて、今は"FA100(田辺製薬)"を使っています。MS-222より効果は弱いらしいですが、特に問題はありません。一応、1/2000〜5000希釈となってますが、自分は60
ml ディッシュ1枚に5 ulぐらいとちょっと濃いめで使ってます。眠らせる時間は3〜5分ぐらいですが、効き方は温度と作用時間に依存するので、適当です。主成分はオイゲノールだそうで、これを溶かせば同じものができるはず。
(情報提供者:東京大学 福井)
(3)うちではイモリの麻酔にSigmaのA-5040 3-aminobenzoic acid ethyl
ester(methanesulfonate salt)を使っています。MS-222だと思います。ちなみにイモリを眠らせるのは0.2%でやっています。
(情報提供者:熊本大学理学部 山本)
(4)私もSigmaのA-50403-aminobenzoic acid ethyl ester(methanesulfonate salt)を使 っています。0.2% だとアフリカツメガエルの成体だと良いのですが(オスから精巣 を取り出すときなど)、オタマだと永眠されてしまうかもしれません。坂井さんが書 いているように0.01%かちょっと濃くして0.02%で使うと良いと思います。ここらへん は私のweb page(http://www.fwu.ac.jp/~yuge/method/section.html)にちょこっとだけ書いてあります。オタマをこの濃度で麻酔して、普通の培養液にもどしたものはちゃんとカエルまで発 生します(少なくとも外見上は)。
もっと簡便な方法は、クロロホルム飽和水溶液をつくっておいて(密閉できるガラスボトルに水を入れ、クロロホルムを加えて激しくふり、一晩くらい放置しておく)、
少しずつ様子を見ながらオタマのシャーレに加える方法です。一応心臓が動いている
状態でつっついても動きません。ただし、これは加えすぎるとオタマが溶けて死んで
しまいます。この方法で麻酔したものがカエルになるかどうかは試していません。
MS222もクロロホルム飽和水溶液も尾芽胚でも有効です。
(情報提供者:福岡女子大学 弓削)
[パラフィン切片の作製法]
パラフィンの連続切片はフェザーの替え刃式の刃で切っておられる方が多いと思います。ゼノパスの胚だと卵黄が多いところでは6μくらいが妥当な厚さだと思いますが、この厚みで切ろうとすると切片が巻いてしまってつながらない、ということはありませんか?
これは、刃の切れ味が良すぎるためにこうなるので、逆に切れ味を悪くしてやると巻かなくなります。具体的には、刃をキシレンで拭くなど、です。ただ、こうすると切れ味が悪くなるので、つながるけどきれいでない切片になってしまいます。そこで、刃は拭かないで、切りはじめの切片の厚みを2μにしてやります。こうすると、切片はつながるようになります(薄い方が巻きにくい)。ある程度の長さにリボンがなったところで4μ、さらには6μにすると比較的きれいでしかもつながったリボンが取れます。後、切片を切るときの温度も重要です。6μくらいの切片を切るためには室温が23℃くらいはある方がいいように思います。寒いと、どうしても切片が巻いてしまってつながらないです。
(情報提供者:鹿児島大学 坂井)